戦後最大の不況の中、かつてレジャー産業が華やかし頃、その象徴であった競馬の売上は、徐々に減少傾向を見せ始めています。馬主の皆さんに買い控えの風潮が広がるとともに、能力の高さとそれに対する割安感、そして開かれたマーケットとなっている外国産馬への購買意欲が益々高まり、結果的に内国産馬のマーケットは冷え込むばかりとなりました。
また一方では、従来圧倒的に主流であった庭先取引が減少し、逆に市場の売上が少しずつ上昇傾向にあります。この背景には完全に買い手市場の時代に突入したということと、リスクの大きい当歳馬買いの減少に伴い、今まではセリに上場されにくかった質の高い馬の上場数が増加してきたことが上げられます。これにより購買者のセリに対する期待と興味が年々大きくなってきています。
1998年から始まった日本競走協会のセレクトセールでは、当初の予想を遥かに上回る高額の取引実績額が残されました。これは購買者のニーズを的確に捉えることができさえすれば、潜在的な需要が確実に見込めるということではないでしょうか。
セリの会場で確実に購買者の視線を捉え、わずかな時間の中でその馬の魅力を十二分にアピールすることができたら・・・。生産者の皆さんが抱かれるそうした思いにお応えするのが、今業界で注目を集めるコンサイナーシステムなのです。
競馬先進国である欧米諸国では、セリで馬を売買するための一切を代行するスペシャリストとして、コンサイナー業は長い伝統を誇り、競馬産業の一翼を担う存在となっています。
セリに上場する1~2ヶ月前から特別メニューの準備が行われます。それは単に馬をより良く見せるだけではなく、各メニューにおける様々な馴致をクリアしていくことで、馬と人との信頼関係がより深いものとなり、その後の騎乗馴致にも大変優れた効果を発揮します。
私たちは、コンサイナーシステムのご提供にあたり、1995年より現在の市場の状況を想定し、セリ上場馬の馴致やスタッフ教育などに取組んでまいりました。さらに1997年より海外研修を開始し、各国の技術を積極的に取り入れつつ、私たちの独自のノウハウを構築してまいりました。
このたびエバグリーン セールス コンサインメントを始動するにあたり、我が国の生産界においてコンサイナー業が一日も早く認知され、多くのご賛同者とともにセリ馴致の技術発展に貢献することができましたらと願っております。