・「二極化の時代」 2006/1/10
|
|
勝ち組・負け組、二極化などの言葉が昨今良く聞かれます。また、
昨年発売と共に話題の本に「下流社会」があり、さらに「希望格差
社会」といったタイトルの書籍も同じような視点で、現代の日本社
会を分析しています。
昨年の流行語ともなった「小泉劇場」では、小泉首相は参議院で
の郵政民営化法案否決を受けて、国会のルールを無視した「とばっ
ちり解散」で衆議院を解散してしまいました。そしてこともあろう
に「郵政民営化」のみを焦点とする総選挙に打って出たのです。ご
承知のように、その結果は選挙前の予想を大きく覆し自民党の圧勝
に終わりました。これは国民が選んだ結果であり、国民の総意と捉
えざるを得ません。それを分析すると、郵政民営化とはすなわち「
官から民へ」の小泉改革の象徴といえるもので、官主導のシステム
から、民間主導によるコスト意識を導入することで、無駄を省き「
ちいさな政府」をつくる事は、結果として国民に利益を及ぼす事に
なるとの考えです。それまでの官主導が全て無駄であり悪であり、
民営化が全て善であり、競争が全て良い結果を招くというような、
意識付けがなされていたのではないかと考えます。
徹底した競争社会はコスト削減とサービスの向上を一時はもたら
すのでしょうが、結果として勝者と敗者をつくる事にもなります。
そして勝者は寡占や独占状態をつくり、富の一人占めがすすむこと
になります。だからこそ、独占禁止法があり、健全な競争が常に維
持されるよう法律によりコントロールしているのです。しかし最近
の日本の社会状況をみると、確実に貧富の差が開き勝者と敗者の区
別がはっきりとする、いわゆる二極化が進んでしまったといえるの
です。
高度成長期にも貧富の差が確かにありました。しかし、誰でも努
力をすればいつかは豊かな生活が約束され、マイホームやマイカー
も手に入るなどと希望を持つことができる社会があったのです。だ
からこそ多くの日本人が中流の意識を持つことができました。とこ
ろが、現在の社会は、大学を卒業し大手の企業へ就職できたとして
も、定期昇給はおろか、社員がいつでもリストラの対象となりえる
のです。さらに最近の企業は専門的な中核労働者と代用のきく部門
とに雇用を分ける傾向にあり、雇用においても二極化が進んでいる
のです。つまりごく少数の専門職に対して、大勢のマニュアル通り
働く分野に別れ、その部分を派遣社員やフリーター、パートタイム
で補う会社が多くなっているということです。かつてのフリーター
は、自分の求める職業がないからと自ら望んでその道を選んでいた
ものですが、今ではその理由が全く違い、安定した定職を求めたく
ともそれが叶わないといった状況があるのです。さらにこのような
厳しい環境が働く人の意欲をなくさせ、ニートを生み出す一因と考
えられています。努力が確実に報われる時代ではなく、将来に向け
ての希望が持ちにくい社会。このようなことから、多くの若者が「
中流の下」を意識する時代だと言われています。
私は今年のキーワードとして二極化、(希望)格差社会、下流社
会、などの言葉が多用される年となるような気がします。小泉改革
がもたらす明と暗の部分がはっきりと表れ、ほんの少数の勝ち組と
多数の負け組が生まれる時代となるのではないかと考えます。この
現象は個人の生活だけではなく、国内の自治においても都市が勝ち
組となり地方が負け組となって、行政サービスや暮らしの質におい
て、その差がますますはっきりとする時代が来るのではないかと思
われるのです。かつては「日本全国の均衡ある発展」が国の目標で
もありました。ところが今は「地方の特色ある発展」との言葉に置
き換わり、道州制議論でも言われるように、地方でできることは地
方で決めることとなります。これは一見理にかなった、自立を促す
考えともいえます。しかし一方では、地方間の競争が激化し、さま
ざまな面での差が開くことが予測されます。自由や主体性を手に入
れる反面、競争によるリスクも手にすることになるのです。
日高地方に目を向けましょう。平成20年までに計画されている
支庁制度改革では、日高支庁が胆振だけではなく、石狩、空知、そ
して後志支庁までもがひとつとなり、道央圏としての支庁を形成す
る計画があります。支庁所在地は札幌?との予測が当然成り立ちま
すが、現在でも全道の人口の3分の1が住む札幌にさらに人口が集
中することが考えられます。この度の支庁制度試案は全道を6圏域
に分け、それぞれが独立した地方としての特色を持つことを念頭に
していると言われています。その中での人口移動は想定されている
ようですが、この道央圏のような広域での人口の集中と過疎が進む
と、過疎地での住民生活や地方自治にたいへん大きな影響があるも
のと思われます。過疎地では人口が少なくなることで、学校の統廃
合や地方医療機関の維持も難しくなり、結局は教育・医療・福祉サ
ービスの低下が進み、若者だけではなく高齢者さえも地方に住むこ
とが難しくなります。そして少子化が進む中での過疎化の加速は労
働力や購買力の低下、そして産業の振興に重大な影響を与え、さら
に地方自治自体が成り立たなくなることが危惧されています。
何もしないでいると、その流れは確実に進み、修正が効かない状
況にまで陥ることが心配されます。今こそ政治の力でその流れを変
えなければなりません。思いきった過疎地を重点とした施策や地方
独自の産業育成が欠かせないものと考えます。もちろん地方での民
間の努力なしでは成り立ちませんが、それを誘導するために政治の
力が必要だと考えます。繰り返しますが、決して無策で放っておく
わけにはいかないのです。私は、今年は特にこの視点で政治を捉え
、地方からの言い分を強調してまいりたいと思います。
2月にはトリノオリンピックが開催され、数々のドラマが生まれ
ることと思われます。私たちに多くの感動を与えてくれるものと期
待をしていますが、そこにはひとりの勝者と大勢の敗者がいること
も忘れてはなりません。勝敗は個々の努力の差だけではなく、素質
や時の運が微妙に重なり合って決まるものです。世の中でも同じよ
うに、勝ち組と負け組の差はそんなちょっとした違いしかないのだ
ということを思いながら、観戦したいと思っています。
「がんばれ、ニッポン!」
|
|